垂直農法の都市展開が加速、大手小売チェーンが店舗併設型植物工場を全国展開へ
店舗併設型植物工場の全国展開
大手小売チェーンが、店舗に併設する垂直農法型植物工場の全国展開を発表した。2026年末までに主要都市圏の100店舗に設置する計画で、都市部における地産地消モデルの新たな形として注目を集めている。
店舗併設型植物工場は、販売フロアの上階または隣接スペースに設置され、収穫から店頭陳列までの時間を最短2時間以内に短縮できる。これにより、鮮度が最大の差別化要因となる葉物野菜やハーブ類の品質が大幅に向上し、顧客満足度の向上につながっている。
垂直農法の採用により、限られたスペースでも十分な生産量を確保できる点が、この戦略の実現可能性を高めている。10段から15段の多層栽培システムにより、従来の平面栽培と比較して単位面積あたりの生産量が12-18倍に達している。
また、輸送コストと時間の削減により、小売価格を従来の植物工場産野菜よりも15-20%低く設定できることも、消費者にとって大きな魅力となっている。環境負荷の低減という観点からも、輸送に伴うCO2排出量が大幅に削減され、サステナビリティへの貢献が評価されている。
業界関係者は、この動きが他の小売チェーンにも波及し、都市部における植物工場の新たな展開モデルとして定着する可能性が高いと見ている。不動産活用と食料生産を組み合わせた革新的なビジネスモデルとして、今後の展開が注目される。
- 記事提供
- フードテック・トゥデイ
- 著者
- 都市農業研究会
- 公開日
- 2025-11-07