2024年7月
矢野経済研究所、2024年度の国内植物工場市場規模予測を発表
完全人工光型植物工場におけるレタス類の運営市場規模は、2023年度実績で前年度比4.5%減の210億円、2024年度は1%減の208億円と予測。一時的な減少は一部大規模工場の停止が要因だが、天候不順による露地野菜の価格高騰を受け、業務用・小売用双方で植物工場産野菜の需要は拡大しており、2025年度以降は再び増加に転じると見られています。
植物工場業界は現在、前例のない技術革新の波に乗って急速な成長を続けています。2024年の世界市場規模は15億6,000万米ドルに達し、年平均成長率9.61%で拡大を続け、2030年には27億1,000万米ドルまで成長すると予測されています。この成長の背景には、AI制御システムによる生産効率の劇的向上、LED栽培技術の進化によるエネルギーコストの削減、そして垂直農法の普及による都市部での農業展開の実現があります。
国内市場においても、完全人工光型植物工場におけるレタス類の運営市場規模は210億円（2023年度）に達し、一時的な調整期間を経て2025年度以降は再び成長基調に転じ、2028年度には240億円規模まで拡大する見通しです。特に注目すべきは、従来のレタス中心の生産から、イチゴ、ハーブ類、さらには医薬品原料となる高付加価値作物まで、栽培品目の多様化が急速に進んでいることです。
技術面では、AI画像解析による生育診断システム、IoT技術を活用したスマート環境制御、ロボット技術による完全自動化システムなど、アグリテックの最先端技術が次々と実用化されています。これらの技術革新により、これまで熟練者の経験と勘に依存していた農業が、データドリブンな精密農業へと進化しており、生産性向上とコスト削減を同時に実現しています。
完全人工光型植物工場におけるレタス類の運営市場規模は、2023年度実績で前年度比4.5%減の210億円、2024年度は1%減の208億円と予測。一時的な減少は一部大規模工場の停止が要因だが、天候不順による露地野菜の価格高騰を受け、業務用・小売用双方で植物工場産野菜の需要は拡大しており、2025年度以降は再び増加に転じると見られています。
佐賀市の清掃工場から排出されるCO2を回収・活用し、ハーブ（ローマカミツレ、ローズマリー）を栽培。CO2施用により成長速度が約20%向上し、水耕栽培により水使用量を約6割削減、さらに再生可能エネルギーの活用でCO2排出量ゼロを実現するなど、サステナビリティを追求したモデルとして注目されます。
半導体商社のマクニカと足場メーカーのタカミヤが、業界の垣根を越えて協業。マクニカが持つAIやIoT技術と、タカミヤが持つ施設園芸のノウハウを組み合わせ、新しい農業の形を目指す動きとして、異業種連携の活発化を象徴しています。
産業用ロボット大手の安川電機が、高品質なイチゴの植物工場を展開するOishii社と植物工場オートメーションに関して提携。ロボット技術の導入による収穫や搬送作業の自動化・省人化は、業界全体の生産性向上とコスト削減に不可欠な要素であり、今後の展開が期待されます。
植物工場運営支援のファームシップが、AIを活用して非接触でレタスの重量を推定するアルゴリズムを開発し、高い精度を確認。この技術により、生育異常の早期発見や収穫量の正確な予測が可能となり、生産性向上に大きく貢献することが期待されます。
植物の成長に最適化されたLED照明技術により、従来の光源と比較して消費電力を50-70%削減しながら、特定波長の光を効率的に供給。量子ドットLEDの実用化により、さらなる効率向上が実現されています。
詳細を見る植物工場業界は、食料安全保障、都市化対応、環境問題解決といった現代社会の重要課題に対する有力な解決策として、今後も継続的な成長が期待される分野です。技術革新のスピードが加速する中、ビジネス機会の拡大と新たな価値創造が進んでおり、各企業の戦略的な取り組みが業界の未来を左右する重要な局面を迎えています。