Plant Factory Insight
Valoyaが垂直農法向けLEDチューブ「L40」を発表、棚間の光量確保に新たな選択肢
Valoyaが垂直農法向けに発表した高耐久LEDチューブ「L40」を解説。長さ1,800mm・40W・寿命5万時間超という仕様が、棚間の狭い植物工場や垂直農場で何を意味するのかを考察。電気代や交換頻度の試算も交え、導入判断のポイントを実務目線で整理します。
ニュースの概要
植物栽培用LED照明を手がけるValoyaが、垂直農法向けの新しいLEDチューブ「L40」を発表した。長さは1,800ミリ、消費電力は40ワットである。棚と棚の間が狭い栽培設備でも設置しやすく、それでいて十分な光量を確保することを狙った製品だ。垂直農法の照明には、植物に近づけて置けること、熱を出しにくいこと、場所を取らないことが求められる。L40を含むLシリーズは、少ない電力で栽培に必要な光を届け、寿命は5万時間以上とされる。さらに防じん・防水性能も備え、湿度の高い栽培室での使用にも配慮した設計である。高耐久をうたう点が、今回の発表の特徴といえる。
引用元: Valoya、垂直農法向け高出力LEDチューブ「L40」を発表(HortiDaily)
分析・見解
棚と棚の間が狭い現場で、細長い光源が選ばれる理由
垂直農法の棚は、段と段の間が数十センチしかないことが珍しくない。ここに大きな板状の照明を置くと、光が真下に集中し、棚の端まで届きにくい。長さ1,800ミリのチューブなら、棚の長辺に沿って光を細く長く広げられる。植物の列と同じ向きに並べれば、葉に当たる光のむらも抑えやすい。
日本で長く使われてきた40形の蛍光灯は、長さが約1,200ミリである。L40はそれより約600ミリ長い。蛍光灯のように「チューブを並べる」という発想をLEDで引き継ぎながら、長い棚に合わせて寸法を伸ばした製品だと読める。
40ワットを電気代と交換の手間に置き換えてみる
数字は具体的に見たほうが分かりやすい。1日16時間点灯すると、1本あたりの使用電力は0.64キロワット時になる。電気代を1キロワット時あたり30円と仮定すれば、年間で約7,000円である。100本なら約70万円だ。照明の電気は、空調と並んで施設の電気代の大きな部分を占める。1本の差は小さく見えても、本数が増えるほど効いてくる。
寿命の5万時間は、1日16時間の点灯で約8.6年にあたる。高い段の照明を交換する作業は、脚立や人手が必要で、収穫の合間に行うと生産計画も乱れる。交換の回数が減ること自体が、人件費の節約になる。つまり、購入価格だけで比べると判断を誤りやすい。
発熱の少なさは、省スペースより収量の安定に効く
LEDは従来の高圧ナトリウムランプなどより熱が少ない。ただし、ゼロではない。棚間が狭いと熱がこもり、葉の温度が上がる。照明を植物に近づけるほど、この影響は大きくなる。
近接して置けるという特長は、場所を節約するだけの話ではない。空調の負担を減らし、棚ごとの温度差を小さくする効果も期待できる。葉物野菜は温度のむらで葉先が傷むことがあり、品質のそろった出荷には温度管理が欠かせない。
防じん・防水の意味と、数字だけでは見えない部分
垂直農法の室内は湿度が高い。霧状の水や結露、床や棚の洗浄で、照明に水がかかる場面は多い。防じん・防水性能は、故障を防ぐだけでなく、洗浄しやすい衛生的な環境づくりにもつながる。
もっとも、今回の情報だけでは、光の色の構成や、消費電力あたりの光量といった肝心の数値までは分からない。同じ40ワットでも、植物が使える光の量は製品で違う。光は量だけでなく色の配合によっても、葉の色や伸び方が変わる。電気の節約は、ワット数ではなく光の効率で決まる。照明は消耗品ではなく、棚の設計と運用を縛る設備の骨格として選ぶべきだ。
ビジネスへの影響
導入前に確かめたい三つの数字と測定条件
まず見るべきは、光の量、電力あたりの光量、棚の端から端までの均一さの三つである。光の量とは、植物が光合成に使える光の量のことだ。カタログ上の明るさではなく、実際に設置する高さで測った値を求めたい。
メーカーに測定条件を尋ね、可能なら貸出機を自社の棚に当てて測る。作物を変える場合に光の強さを調整できるかも、同時に見ておきたい。結果を作物の生育データと並べて記録しておけば、後の比較にも使える。
回収期間は電気代と作業時間の合計で考える
既存の照明を入れ替えるなら、効果は電気代の削減だけでは測れない。交換作業の時間、故障による停止、棚ごとの温度対策の手間も金額に直す。例えば、年間の電気代が1本あたり7,000円の施設で消費電力が2割下がれば、1本あたり年1,400円、100本で14万円の差になる。ここに交換工数の減少を足し、設備費と比べる。
ただし、器具の取り付け寸法や電源の方式が既存設備と合うかは、別に確認が必要だ。配線工事の費用が思わぬ負担になることもある。寿命を前提に、年数あたりの費用に直して比べると判断しやすい。
小さく試して保証と供給体制を見極める
いきなり全棚を替えず、まず一つの棚で半年ほど試す。同じ作物を新旧の照明で育て、収量、品質、電気代を比べる。あわせて、保証の期間、故障時の交換の早さ、国内に代理店があるかを確かめる。
寿命5万時間という数字は、供給元が長く事業を続けてこそ意味を持つ。メーカーが栽培試験のデータを公開しているかも、判断材料になる。保証書の条件まで読み込む姿勢が、結果として照明費の見通しを安定させる。